K.I.H.S.WEBコラム
2015.11.09
英語はどうやって伝わったの? The History of English in Japan
インターナショナルスクールが多くある大阪では、2011年~2013年までの3年間に渡って、小学校・中学校・高等学校ともに、大阪府教育委員会による「使える英語プロジェクト事業」が実施されました。これには、大阪の子どもたちの国際力やコミュニケーション能力を向上させる、という目的があります。
このような取り組みは大阪だけでなく、全国的にも行われています。最近でいうと、文部科学省による「小学校からの英語教育の必修化」が挙げられます。こうしたことから、今後は大阪をはじめとして日本における英語の必要性はさらに高くなることが予想されます。
こうした背景からわかるように、今や日本人にとって、英語はとても身近な存在です。では、そんな英語はいつ、どのようにして日本に伝わったのでしょうか。今回は、日本における英語の歴史についてご紹介します。
はじめての西洋の言葉は、ポルトガル語だった!?
はじめて日本に足を踏み入れた西洋人は、ポルトガル人の商人だったといわれています。
1543年、種子島に漂着した商人は日本に鉄砲を伝えました。種子島の領主は商人から鉄砲を2丁購入し、ひとつは家宝、もうひとつは解体し構造の研究のために使用しました。ちなみに、このとき日本は戦国時代。鉄砲が生産されるようになると、戦国大名たちは「我こそは」とこぞって買い求めたそうです。
この背景から、日本に最初に伝わったのは、英語ではなくポルトガル語であったということがわかります。つまり、アルファベットはポルトガル語を通じて日本に伝わったのです。とはいえ、当時はポルトガル語を理解できる日本人がいなかったため、日本人とポルトガル人は、商人と共に漂着した中国人を介しコミュニケーションを図っていたそうです。
きっかけは、鎖国の終了と明治維新
日本で200年以上も続いていた鎖国は、1854年の日米和親条約の締結により終了しました。それと同時に西洋の商人が続々と日本を訪れるようになり、英字新聞や英語テキストなどの発行がスタートします。さらに、西洋の文化を吸収しようと、多くの日本人が英語の書物の翻訳に取り組み始めます。日本初の英会話教材が誕生したのもこの時期です。なお、この当時はまだ日本にインターナショナルスクールのような学校はありませんでした。
ちなみに日本でいち早く英語を学んだのは、明治時代の教育者・福沢諭吉です。『天は人の上に人をつくらず 人の下に人をつくらず』という言葉を説いた人物です。
福沢諭吉は横浜にて外国人にオランダ語で話しかけたものの全く言葉が通じず、それにとても驚いたといわれています。そしてこの経験を通し、これからは英語が必要になると実感し、自ら英語を学び始めたのです。後に高い英語力を身につけた福沢諭吉は、幕府から渡米団に任命され、留学中に学んだことを『西洋事情』に著します。こうして世界の流れをいち早く見ぬいた福沢諭吉は、著書を通して日本に西洋の文化や考え方を伝えていったのです。
明治維新の後、学校制度がスタートしました。西洋を参考にした近代的な学校制度が開始され、日本ではじめて小学校に英語教育が導入されました。しかし、日本語を重視した教育政策や戦争の影響により、一度中断されてしまいます。
一時は英語を排斥したことも……
日中戦争や第二次世界大戦により、アメリカやイギリスの敵性国・交戦国となった日本では1940年、英語そのものも敵性に該当するとして排斥されるようになりました。とはいえ、これまでの歴史のなかで、英語が日本の文化や日本語に与えた影響は大きく、すべてを排除することはできませんでした。また、パーマを「電髪」、サックスを「金属製曲がり尺八」というように、無理やり日本語に置き換えた言葉もあったそうです。
戦後の英語教育とその後
戦前はイギリス英語が主流だった日本の英語教育ですが、戦後はアメリカ英語へと変化していきます。これは、戦争によりアメリカの影響を強く受けたことが理由とされています。
日本の英語教育では、授業を日本語で行うのが主流となっています。その理由は、明治期にかけて専門用語の和製漢語化が目立ちはじめていたことや、日本語の教材・専門書が充実していたことなどにより、英語による指導が不要だとされていたため。しかし、今はそれが変わりつつあります。2011年には小学5年生・6年生において英語教育が必修化され、2013年には高等学校において英語の授業を英語で行う方針にするなど、英語の重要性に重きを置いた教育方針へと変化しているのです。
こうした背景と日本社会のグローバル化により、インターナショナルスクールへの入学を希望する親御さんや子どもたちは増加傾向にあります。同時に、インターナショナルスクールのように英語に特化した学校も増えてきています。日本の未来を背負う子どもたちの英語力を高める手段として、インターナショナルスクールへの入学は非常に有効だといえます。
過去・現在・未来 先を見据えて今を生きよう
現在、日本の英語教育に関する取り組みは、東京や大阪に限ったことではなく、日本全体で積極的に実施されています。上述したように、かつて福沢諭吉は世界の流れをいち早く見抜き、英語を学ぶことで日本を代表する偉人となりました。グローバル化が増々進んでいる現代社会においては、英語力は一層不可欠なツールとなっています。
もし、「インターナショナルスクールに通おうか」と悩んでいる方がいるのであれば、勇気を出して一步踏み出してみることをおすすめします。インターナショナルスクールで世界に通用する英語を学びましょう。