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2017.05.30
関西インターナショナルハイスクールの中間試験の様子―日本の高校とどこが違う?―
関西インターナショナルハイスクール(K.I.H.S.)は、大ざっぱに言うと、アメリカンスクールと日本の高校を融合した学校ですが、定期試験はどんな感じなのでしょう。
現在KIHSでは前期中間試験を5月29日(月)から5日間のスケジュールで行っています。
試験実施中
筆記用具の音しか聞こえないシーンとした教室。通常授業では見られない緊張感。真剣に試験問題に取り組んでいる生徒たち。
朝から、職員室でも教員がピリピリしていた。病欠の生徒が出ないだろうか。生徒たちは試験勉強をしてきているだろうか。試験で欠点を取らないないだろうか。いろいろ心配がある。
朝早く登校して教室で勉強していた生徒もいた。
試験は成績に大きく関わる。このため、教員だけでなく生徒たちも真剣だ。これは本校試験時の普通の光景だ。
成績の算出について、一般の高校とさまざまな違いがあります
このブログでは、試験期間前の最終登校日・5月26日(金)の様子や、成績の付け方、試験問題の違いについて書こうと思う。
(写真は中間試験前の最終日5月26日(金)の授業の様子)
午前中に英語の授業があり、外国人教員はそれぞれ試験範囲の説明や重要点を説明していた。生徒たちは、試験中とは違ってまだまだリラックスしている様子であったが、それでも試験範囲や重要事項を一生懸命聞いていた。
一つのクラスでは、京阪電車が人身事故で大幅に遅延した。これが原因で教員到着が遅れたため、試験に向けて自習となった。幸い、この教員は10分遅れで到着し、この後すぐに授業が始まった。
成績の配点や試験問題について
ではここで、日本の一般高校との違いについて簡単に説明したいと思う。成績の配点や試験問題について大きな違いがある。
一般の高校の場合、成績の8~9割程度は定期試験が占める。ところが、K.I.H.S.では定期試験は成績の4割~6割。言い方を変えると、平常点が成績の6割~4割となる。つまり、授業重視・平常点重視と言う意味で、日頃の授業への参加度や宿題・提出物をより多く評価するのだ。
K.I.H.S.では平常点(Class Work)を6割にするのか、あるいは5割or4割にするのかは各科目担当教員が決める。外国人教員はたいてい「平常点6割+試験点4割」基準を選択する。日本人教員は「平常点4割+試験点6割」を選択することが多い。
外国人教員はどうして平常点の割合を日本人教員より高くするのか
それは、外国人教員は授業の中で生徒たちが英語で積極的に発言することをより大きく評価したいためである。授業で積極的に意見を言うと成績は良くなる、という仕組みで、授業を活性化する効果がある。
宿題も問題集的な宿題だけでなく、「○○○について書きなさい」というような宿題が出る。
宿題例:Write an essay about the effect of the human-enhanced climate change and possible solutions. From your perspective, which solution is the best for our planet. Refer to data where needed.
K.I.H.S.ではアメリカやヨーロッパの高校生のように自分の意見が大切にされるので、授業内外で自分の考えを持つことを奨励している。個性が尊重され、自分の考えや意見が大切にされるので、生徒は発言しようという気持ちになる。私は、この制度が英語で発言する教育風土を醸成していると考えている。
国・学校によって成績のつけ方もいろいろ
K.I.H.S.で勤務する外国人教員に、自国での成績に占める試験点の割合について聞いてみた。(高校・時代によって異なります)
イギリス
一般的にイギリスではK.I.H.Sと同じように平常点は5割~6割。試験点は5割~4割の学校が多いそうだ。一方、授業態度や提出課題など、平常点だけで成績が決まる学校を卒業したという教員もいた。
カナダ・アメリカ
カナダやアメリカでは平常点5割、試験点5割の学校が多い様子だ。
しかし、中には自分が高校生の時、成績がどのようにつけられているか意識しなかったという先生もいた。
成績評価の基準については、イギリス出身の先生によると、イギリスでは評価がアメリカより厳しく、70点以上の成績を取ると、「嬉しかった」とのことだ。
イギリスでは合格の最低点が40点以上であり、60点以上のアメリカとの違いがある。このイギリス人教員によると、K.I.H.S.ではアメリカの成績評価システムを採用しているので、ある優秀な生徒が78点の成績で喜んでいないのを見て、「驚いた!」とのことだ。それはK.I.H.S.で勤務を始めたばかりの時の出来事で、すぐにK.I.H.S.のシステムにadjust(適応)するようにした、とのことだ。ちなみに、K.I.H.S.では優秀な生徒は85点以上の成績を修める。平均点が90点以上の生徒は極めて優秀で、例年、各学年で1~2名にとどまり、90点以上の生徒が誰も出ない学年があることもある。
なお、イギリスでもアメリカでも教育システムが近年大きく変わってきているので、各国の試験情報はあくまでもひとつの参考ということで理解してほしい。
試験問題は?
次に、K.I.H.S.の試験問題はどうだろうか。
まず、外国人教員の試験は、All English。授業で学んできたことを理解しているか、英語科目では正確な文法や表現を習得しているか、などが問われる。しかし、社会科などでは自分の意見を書く問題もある。
高校と同じ検定教科書を使う「国語」や「世界史」では一般の高校と同じような問題が出される。ところが、日本人の先生の授業でも、英文教科書を使用する科目では英語での出題も結構ある。答えは基本的に英語で答えないといけない。また、自分の考えや意見、そしてその論拠を問われる問題が出されることもあり、一般の高校と異なる点である。
最後に、こんな試験を受けている生徒に感想を聞いてみた。
まず、この4月に入学したばかりの1年生はAll Englishの問題はどうだったか。中学校との違いは何なのか。
生徒の感想
≪1年生≫
Willard先生の「Geography(地理)」(All Englishの試験について)
・試験前によく勉強したので、よくできた、
・勉強したけれど、難しかった。
・思っていたより、簡単だった。
・英語で書かないといけないので、むずかしかった
谷本先生の「日本史A」について
・中学校の歴史と同じ感じで、けっこうできた。
・暗記が苦手で、むずかしかった。
・歴史が好きなので、簡単だった。
では、昨年4月に入学して1年余りK.I.H.S.で学んできた2年生の感想はどうだろうか。
≪2年生≫
Warham先生の「Ecology」(All Englishの試験について)
・全部英語で書かないといけないけど、簡単だった。
・もっと深いところが問われるかと思ったが、授業で学んできた内容だったので、よくできた。
(ここで生徒に、「Warham先生はイギリス英語で、アメリカ英語と違って聴きとりづらいところがあるのではないの?」と質問したが、去年、英語の(Speaking/Listeningクラスの)インタビュー試験を受けた時は、発音の違いに戸惑ったが、あれからイギリス英語にも慣れたので大丈夫だった、のことであった)
松尾先生の「政治経済」
・去年、松尾先生の「現代社会」を受けていて、問題形式に慣れているので、よくできた。
・簡単だった
以上、学年それぞれ数名の生徒のサンプルであり、全員の感想ではないため、ひとつの参考意見としてご理解願いたい。しかし、2年生は1年次にAll Englishの授業や試験を受けてきたため随分All Englishの試験にも慣れており、概して「できた」という声を聞くことができた。
一般の高校とアメリカンスクールの融合教育を行う関西インターナショナルハイスクールの中間試験。
このブログで多少なりとも特徴を理解していただけたのではないだろうか。
頑張って試験に取り組んでいる生徒たちの姿がまぶしい中間試験初日であった。明日も引き続き試験がある。生徒諸君、体調を崩さず、頑張って下さい。
教育主任 滝本武
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