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2016.07.26
ある日の1年1組のホームルーム”関白宣言は時代遅れ?”
ある日の1年1組のホームルーム
さだまさし氏の「関白宣言」をご存知ですか?「お前を嫁にもらう前に…俺の本音を聞いておけ」で始まるこの歌は、1979年にリリースされて大ヒット。昭和も終盤に近付きつつあり、女性の社会進出の重要性が声高に語られ始めたその当時、歌詞の内容をめぐって物議を醸したりもしたようです。
先日、本校1年1組(KIHS始まって以来の女子クラスです!)のHR(ホームルーム)で、この歌を聴いてどう思うか、お互い話し合う機会を設けました。
彼女らが生まれるずっと以前の歌ながら、ほとんどの生徒が耳にしたことがあるとのこと。ただ、歌詞の内容について意識したことがあるほどよく知っている訳ではなさそうでした。
歌詞の内容で意見交換! プラスの評価とマイナスの評価
初めに、自分にとって好ましく思われるところと、反対に気に入らないところを一人一人マークし、その後数人ずつのグループに分かれて、マークを付けた理由も含めて意見交換をしました。もちろん個人によって差異はありますが、多くの生徒がプラスに評価したのは「幸福(しあわせ)は二人で育てるものでどちらかが苦労して繕うものではないはず」というフレーズ、ほとんどの生徒がマイナスに受け取ったのは「俺より先に寝てはいけない、俺より後に起きてもいけない、飯はうまく作れ、いつもきれいでいろ」という箇所でした。(その後に続く「出来る範囲で構わないから」は比較的多くの生徒がプラス評価。)
当然と言えば当然ですが、一方的に役割を押し付けられるような表現には反発を、ともに力を合わせて…というイメージには共感を覚えたようです。その後、この歌に対する感想を出し合ってもらったところ、自分たちの世代には当てはまらない一時代前の内容であり、もしも自分が結婚を考えている相手から同じように言われたら二の足を踏んでしまうという生徒がほとんどでした。
このHRの目的
このHRの目的は、今現在の社会の中で女性はどのような位置・立場に置かれているのか、そして(良くも悪くも)社会全体から何を求められているのかを意識し、自分自身は今後、どのような大人・女性として生きていきたいか、パートナーを得るとしたら、その一番身近な他人である存在とどのような関係を築いていくべきか、について考えるきっかけを作ることでした。
HR後半ではグループごとに自分たちの目指す女性像、パートナーとの望ましいあり方についての話し合いとクラスへの発表を行い、最後のまとめとして自分自身の考え、感想を400字程度で文章にすることを宿題にしました。個々には様々で一括りに出来ない意見もありましたが、全体としては、今はこの歌が世に出た頃とは時代が違い人々の意識も変わってきているものの、仕事と家庭生活の両立などの面で男女の立場はまだ平等とは言えず、さらに改善を望むこと、自分は自分らしく自立した存在としてあり、パートナーとは従来の男女の役割にとらわれず、お互いを尊重し合う対等な関係を結びたいと思っていることが窺われました。
ほとんどの生徒達が「関白宣言」を時代遅れと評しましたが(一面的な解釈に留まらず、この歌全体に染みとおる、男性の不器用な優しさ、思いやり、愛情の深さにプラス評価を付けた生徒も複数ありました。)男女雇用機会均等法の施行後30年を迎えて尚、ある公立中学校の校長が「女性にとって大切なのは子どもを2人以上産むこと」と発言したり、アイドルグループが「(女の子は)頭からっぽでいい」と歌うなど、人々の意識、社会の「本音」がどれだけ変わったのかについては疑問が残ります。今後、1-1のangelたちが地に足の着いたhuman beingとして実社会にデビューする際には、男女の別に関わらず、様々な選択肢を持ち、個々の能力を存分に発揮して、自由に呼吸できる環境であって欲しいですし、そのような世の中を作っていくことは私たちの責任であると思います。
英語科教員(1-1担任) 興野美穂
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