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2015.09.15

グローバルな視点とコミュニケーション能力―臨床心理士の視点から―

【本校・臨床心理士の島田真弓先生のブログ記事です】

時代が求める人材像 この時代、どんな能力が求められているのでしょうか?

「時代が求める人材像」についての記事がありました。
東証一部上場企業900社と全国4年生大学749校を対象に行われたアンケート調査によると、大学が欲しい人材の人間力は、「主体性」、「積極性」、「グローバルな視点」で、備えておいて欲しい知識・能力のトップは、「コミュニケーション力」でした。
本校が目指す「グローバルな人材育成」とは、「英語ができること」だけではありません。
「グローバルな視点」とは狭義では、日本に限らず多様な国々の言語、文化、考え方を理解することです。

心理学的な視点では、「違い」を受け入れながらコミュニケーションを図ること

心理学的にはもっと広義に捉え、
自分と違うもの(「自分以外の他者」)を理解し、「違い」を受け入れながらコミュニケーションを図ることです。

日本は独特の文化や考え方ゆえ、心理学上、興味深い研究対象となっている

日本は海に囲まれた島国で他の国々のように大陸続きではありません。
それゆえ独特な文化や考え方をもっているとして、心理学上興味深い研究対象となっています。

「自己認識の強さ」と「他者認識の弱さ」

なかでも日本人特有の傾向として、「自己認識の強さ」と「他者認識の弱さ」が挙げられています。
「自己認識」とは、自分が人からどう見られるか、を気にする傾向であり、「他者認識」は他の人はどう見ているかについての興味です。
つまり、日本人は「他者から見た自分」は気にするが、「他者が何を見て何を考えているか」についてはあまり気にしないということです。
人間は基本的に主観(自分の思い込み)でしか物事を捕らえることができないという事実があり、
そして多くの人が「他人も自分と同じ視点でものを見ている」と思い込んでいます。
しかし、実際には他の人は自分とはまったく違う視点で、ものをみていたりするものです。
たとえば、誰かが大勢の人の前で笑われている場面では、「きっと恥ずかしい思いをしていることだろう。」と思う人もいますし、「すごい! うけてる。」と思う人もいるのではないでしょうか。
また、子供が言うことを聞かないという状態では、「どうして親の言うことをきかないの?」とイライラしてしまう親御さんもいれば、
病弱のお子さんをお持ちの親御さんは、「元気でいてくれればいい。」と思うのではないでしょうか。

人の考えは、その人の経験によって形作られる

人の考えは、その人が生きてきた経験によって作られるものです。
人はそれぞれ独自の体験をし、考え方も異なります。誰一人として、同じということはありません。
「自分の考えていることは自分しか知らないし、自分以外の人の事はわからない・・・。」と思う方が自然です。

コミュニケーション能力を向上させるために大切なこと

ですから、日常の中ではあえて「他の人(自分と立場の違う人)はどう考える(感じる)んだろう?」ということを一度たちどまって考えてみることが必要なのではないでしょうか。
「自分が何をしたいのか」、「相手に何をしてもらいたいか」よりも、「相手は何を求めているか」、「何をほしがっているか」と相手の立場になって考えてみること。
相手の立場からものを見る大切さを実感してみてください。
コミュニケーション能力とは、「相手の立場からものを見れる能力」だと日頃の生徒たちとのふれあいを通じて実感しています。
臨床心理士・島田真弓

島田真弓先生のプロフィール

島田真弓先生は、関西外語専門学校の臨床心理士であり、20年間海外で生活し、英語も堪能です。
専門課程では英語の授業を担当し、本校では選択科目「心理学入門」を担当しています。
インターナショナルスクールにふさわしい経歴の先生であり、本校生徒は全員、担任教員の個人面談に加えて、島田先生による個人面談も実施し、インターナショナルスクールでのスクールライフをサポートしています。
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